■別山尾根から剱岳

北アの俊英・剱岳は層々たる岩に鎧われて、その峻烈の風格は太刀の鋭さと靭さとを持っている。鋼鉄のような岩ぶすまは、激しい、嶮しいせり上がりをもって立ちはだかる。そんな尖端への登頂は感動のドラマが待っている。
登山日:2015/09/20

一日目
室堂~剱山荘


室堂ターミナルから地獄谷を通ってテント場のある雷鳥平にでる。浄土沢を渡ってその先で、新室堂乗越へ向かう道と分かれて右に入る。ここが雷鳥坂の取付で、別山乗越まで標高差約500mの登りだ。ガレた沢筋の登りから尾根上へ出て、ハイマツ帯のつづら祈りが続く急登を行く。

2,530mをすぎたあたりで傾斜がひと段落する。お花畑に沿って左上する。箱庭のような室堂平や、立山連峰、奥大日岳などの展望が、登るほどに広がっていく。 2,560m付近から再び急登となり、雷鳥沢上部のすべりやすい斜面を行く。

細かいつづら折りを繰り返して登り続けると、剱御前小舎の建つ別山乗越に出る。剱沢側に寄ると、大きな剱岳が姿を現す。

剱岳登頂のベースとなるのは、剱御前小舎、剱沢小屋、剣山荘の3軒だ。今回は、剱山荘をベースとする。別山乗越からは剱御前の山腹をの道を行く。

トラバースして直接剣山荘へ下るルートを通る。これは、剱御前の東側斜面を巻くようにたどるルートで、高山植物が豊富なルートだが8月上旬は残雪があり注意が必要である。

剱岳を前方に見て剣山荘へ1時間30分ほどで剱山荘に着く。

二日目

剱山荘~剱岳


剱山荘からは、お花畑を右上して一服剱へ登る。ピークに立つと前剱が大きくせまっている。一服剱から前剱との鞍部に下りたところが武蔵(たけぞう)のコル。ここから稜線の右手、剱沢側のトレイルをたどる。登るほどに足もとの不安定なガレ場の急登となり、スリップや落石に要注意だ。この付近はいく筋も踏跡が錯綜し、ルートファインディングが難しい。

やがて狭い溝のようになったガレ場に入ると、上部に今にも落ちそうな大岩が見えてくる。これが「前剱大岩」で、岩の左側をクサリに導かれて越えていく。岩溝を抜けたところから、すべりやすい岩場を登りつめると稜線へ出て、そこから岩稜をたどると前剱だ。

前剱の東大谷(左側)を巻いていく道があるが、下山時には自然にこの巻道を通ることになり、前剱頂上は通過してしまう。前剱の先で登下降路が分かれるので、行きは前剱経由、帰りは巻道を通った方が、ルートがわかりやすい。前剱からは頂稜の剱沢側(右側)をたどり、すぐに東大谷側へ稜を乗り越えて、足場の不安定な急な岩場を下る。

次に現れる岩峰の手前で鉄ブリッジを渡り、この岩峰に取り付き、クサリに沿って右上していく。岩蜂の右肩からこれを巻き、平蔵谷側をクサリで下る。下り切ると前剱の門とよばれる鞍部に出る。前剱の門からは足もとの安定したザレ場を登る。ルートは平蔵谷側から稜線に出て、東大谷側へ回りこむ。そのまま平蔵ノ頭(へいぞうのずこ)を東大谷側へ巻いて通過し、岩峰にぶつかったところで登・下降路が分かれる。

登りは右側から、ゴツゴツとした岩場をクサリで越え、傾斜は緩いが、高度感抜群の一枚岩をクサリに沿って下る。下りきったところで登下降路が合流する。平蔵ノ頭の先は平蔵谷源頭部の岩峰帯の通過となる。ルートは平蔵谷側を巻いていく。登下降路が分かれたところにある短いクサリ場を通過すると平蔵のコルに出る。

ここからはじまる急な岩場の登りが「カニのタテバイ」だ。平蔵のコルから平蔵谷上部を少し本峰南壁よりに横切った先が取付で、垂直に近い50mほどの岩場が立ちはだかる。クサリなどが整備されているが、慎重な行動を心がけたい。

カニのタテバイを登り切り傾斜の落ちたガレ場の登りとなり、早月尾根との分岐をすぎる。しばらく行けば待望の剱岳頂上に着く。

岩稜状になった頂上からは後立山連峰、立山連峰、槍・穂高、薬師岳、北方稜線などの大パノラマが望める。源次郎尾根や八ツ峰(やっつみね)などの岩稜を上から見下ろす迫力ある眺めは、剱岳ならではのものです。

なお、富山方面には雲海が広がり早月尾根が雲海に伸びている。

下山は下降路のカニのヨコバイヘ。クサリのつけられた高度感ある岩場を岩棚に沿って下っていくが、第一歩の足もとをよく確かめて慎重に。クサリ場をすぎるとすぐに長いハシゴの下りだ。

ハシゴに乗り移る時にバランスを崩さないように。さらにクサリのあるルンゼを下ると、ガレ場に出て平蔵のコルに着く。最後のクサリを下りた先にトイレがある。

平蔵のコルからは岩峰帯の平蔵谷側の岩場を巻いて通過し、登下降路の分かれた一枚岩の岩蜂をクサリに導かれて登る。次に東大谷側へ傾斜のある岩場をクサリで下り、そのまま平蔵ノ頭を巻いて通過していく。往路を下山する。